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【授業内容】「歴史的東トルキスタン概説」(青山学院大学)

次年度、青山で標記講義に取り組むことと相成った。国内でもめったにこういう枠組みの授業が開講されることはないので、「予定された椿事の記録」として、あらかじめその教案(シラバス)を示しておく。

「歴史的東トルキスタン」としているのは通俗的な意味での東トルキスタン(現在の新疆ウイグル自治区のオルタナティヴな呼称)と区別するためであり、領域としては現在の新疆の南部地方(南疆)を指している。

この授業は青山の史学科の専門課程の授業であり、歴史学を学ぶ学学生が、いずれ卒論を書くための何らかの肥やしとなることが期待されている枠組みでの授業である。したがって授業もある程度の専門性は意識するものの、基本的には、後述するように「個別具体的なトピックの向こう側」を考える機会を提供することを第一の目的に置いている。 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

青山学院大学 2015年度「東洋史特講」(木曜日3時限配置)

「歴史的東トルキスタン」概説("Historical Eastern Turkistan" An Overview)

本講は、10世紀の中央アジアにおける「イスラーム化」及び「トルコ化」によってその基礎が形成され、モンゴル帝国ならびにその後継諸国家、さらに清朝の征服(18c)等の歴史的変動の結果、ひとつの地域的枠組みを形成するに至った「歴史的東トルキスタン」地域(現在の中華人民共和国新疆ウイグル自治区南部地域に相当。六城ないしは7城、カシュガリア、小ブハーリア、回部、回疆、中国領中央アジア、中国領トルキスタンとも呼称される)に関する歴史的な諸問題を扱う入門講座です。「東トルキスタン」という、一般的にはなじみのない地域の歴史に関する個別具体的な問題を、現地語文献に依拠した文献史学の立場から、現時点での最新の研究状況を踏まえて学術的に眺めていきます。

本講はたまたま特定の一地域に関する歴史を扱っています。
しかし本講の目的はその特定の、ややもすればマニアックととらえられがちなトピック自体にはなく、その彼方にある、歴史を学び探究するうえでの「普遍的な命題や手法」を学び考えていただくことにあります。履修なさる皆さんは、それぞれのご関心にひきつけて、毎週登場する個別トピックを自由な立場から考えてみてください。そして、そうした考察の積み重ねを最終的には年度末に課すレポート(単位申請小論文)にぶつけていただければ幸いです(夏休みのレポートは、そのための中間報告という位置づけになります)。存分に語り合い、考える一年にしましょう。

※履修条件
当該地域史に限らず、ひろく人文学に関心ある方ならどなたでも歓迎いたします。
講義は基本的にEasy Japaneseで行われます。

講義の内容(全30回を予定)
1. ガイダンス: 「歴史的東トルキスタン」へのアプローチ
2. 序論 「地域」の枠組み: 東トルキスタンとは何か
3. 環境という視点: 東トルキスタンの地勢と気候、環境史概観
4. 歴史の「流れ」をどう捉えるか: 「シルクロード」論争をめぐって
5. 言語というファクター: 東トルキスタンの言語と文化
6 「東トルコ語」入門: チャガタイ語と新ウイグル語
7. 当事者は何を書き残したか: 東トルキスタン文献入門(1)
8. トラヴェローグと統治資料の価値: 東トルキスタン文献入門(2)
9. 地域はいかに「研究」されたか: 東トルキスタン文献入門(3)
10. 「歴史的転換点」の問題: カラ・ハーン朝史はマージナルか
11 .世界史の「モンゴル・ファクター」と東トルキスタン
12. 宗教の改革と「世界宗教」: イスラーム神秘主義の歴史的意義
13. 預言者とハーンの「融合」: 東トルキスタン史におけるホージャ
14. イスラームとの共存は可能か: 異教徒支配下の東トルキスタン(18c-)
15. 都市空間の歴史学: 「壮麗なるカーシュガル」は滅びるか
16. 後期第1回: 提出レポート10分プレゼンテーション
17. 国際関係と地域の歴史: 東トルキスタンの「グローバル」と「ローカル」
18. 歴史と表象: 東トルキスタン史はどう「消費」されたか
19. パワーポリティックスの陥穽: ヤークーブ・ベグ政権とグレート・ゲーム
20. 多様な信義と知性: 19世紀叛乱と『勝利の書』三篇
21. 多元的法秩序: 「新疆省」の実験
22. 小文字の歴史学: 東トルキスタンの地方(じかた)文書を読む
23. 民間信仰が動かす歴史: 東トルキスタンの聖者伝説と聖墓
24. 手工業職人の歴史学: 系譜、職業倫理、信仰
25. 歴史は作られる: 「東トルキスタン」「ウイグル」創出の問題をめぐって
26. ナショナリズムは「輝かしい歴史」か?: 二つの「東トルキスタン共和国」試論
27. 歴史的東トルキスタンの終焉: 農地改革(1950s)の歴史的意義とは
28. マイクロ・ヒストリー:家族の歴史から東トルキスタンをみる
29. 日本人と東トルキスタン: 漢籍アンソロジーからSNSまで
30. 「新疆史」と「東トルキスタン史」と歴史的東トルキスタン: まとめ

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