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『中国ムスリムの宗教的・商業的ネットワークとイスラーム復興に関する学際的共同研究』

独立行政法人日本学術振興会科学研究費補助金研究成果報告書
『中国ムスリムの宗教的・商業的ネットワークとイスラーム復興に関する学際的共同研究』平成17年度-平成19年度(基盤研究(B)) 平成20年3月 
研究代表者 松本光太郎(東京経済大学コミュニケーション学部)

中央大学の梅村坦先生よりご恵贈いただきました(梅村先生、ありがとうございます)。
本書は昨年度の刊行だったのですが、文献リストでその存在を知り、梅村先生にお願いして落手がかないました。さすがタイトルに「学際的共同研究」を謳っているだけあり、3部21章構成と言う豪華な内容です。私の科研プロジェクトも予算枠としてはこちらと同じ基盤研究(B)なのですが、とてもこんな立派な論集は出せそうになく、プレッシャーを感じます(最終年度である今年度中に何とかしなければなりません!!)。

目次は相当長いので略記します:

序:本プロジェクトの概要と成果
業績一覧
第1部:中国西北地域におけるムスリム・ネットワークの動態
 (第1章~第6章)
第2部:西南(雲南)・華南(福建)地域における回族ネットワークの動態
 (第7章~第13章)
第3部:新疆におけるウイグル人のネットワークとその動態
 (第14章~第17章)
第4部:中国ムスリムと海外ネットワーク
 (第18章~第21章)
巻末エッセイ
執筆者一覧

私自身の関心としてはまず第1部第3章の「中国寧夏回族自治区南部地域における聖者廟の分類と立地」(高橋健太郎)が注目されます。回族の聖者廟を中心にすえて、われわれにも使える形で簡明にデータを提示してある点が大いに評価できるでしょう。こういった基礎データは新疆やフェルガナもぼちぼち蓄積されてきているので、そろそろ中央ユーラシアの聖者廟を総体的に見渡すような研究が可能になるかもしれませんね。

つぎに当然ながら第3部14章の「現代カシュガルの鍛冶職人について」(梅村坦)も興味深い論稿です。ウイグルの手工業職人については私も興味を持っていて少しだけ取り組んだことがありますが、周到なフィールド・ワークを行うとやっぱり掘り起こせる情報は違うものだなあと脱帽です。それにしても、最近カシュガル旧市は区画整理による消滅が懸念されており、こうした調査がいつまで行えるものなのかも大変心配されます。鍛冶職人のみならず、他の職人についても、そしてカシュガル旧市の伝統的なコミュニティについても更なる調査が必要でしょう。これはまさに喫緊の課題と言えるでしょう。

以上、ここでは2編しか取り上げられませんでしたが、本報告書の内容は(何度も言いますが)内容豊富で読み応えがあります。科研プロジェクトの報告書とは、こういうものを理想と言うのでしょう。こうしたすばらしい報告書を出されたプロジェクトメンバー、特に研究代表者には敬意を表したいです。

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