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松長昭『簡明日本語-アゼルバイジャン語アゼルバイジャン語-日本語辞典』

松長昭『簡明日本語-アゼルバイジャン語アゼルバイジャン語-日本語辞典』東京:国際語学社、2009年4月、308頁。

著者の松長昭さんよりご恵贈いただきました
(松長さん、たびたびありがとうございます!)。

本書は「新語・外来語を含めた日常生活単語を日本語引き約5,500語、アゼルバイジャン語引き約5,000語の計10,000語」を「超収録」した実用辞書です。サイズ(B6)も厚さもほどよく携帯に適しています。本書冒頭で著者が明快に述べているように、本書はまずもって「(アゼルバイジャン語の知識を持たずに)アゼルバイジャンを旅行する日本人」ならびに「日本人のアゼルバイジャン語初級学習者」を読者(というより利用者、でしょうか)として想定しています。収録語彙も「日刊新聞を読むことができる程度の単語数を網羅」しているとあり、現代の新しい語彙も豊富に収録されています。

私がさきに出版した『現代ウイグル語小辞典』もある意味において同じような志と言うかコンセプトで編んだものですが、所詮は研究所出版物でして、社会への貢献度と言う点においては、市販出版物である松長さんのこの辞書には到底及びません。今後アゼルバイジャンを商用・観光などで訪れる日本人にとり、本書が必携のツールになることは疑いないでしょう。
(なお、拙著『現代ウイグル語小辞典』は国立大学法人附置研究所の限定出版物でしたので、遺憾ながら発行部数、流通ともに一般の方々の目に触れることが難しいという欠点を抱えています。もしもこの辞書の商業出版にご興味関心をお持ちの出版社等の方がございましたら、前向きに検討いたしたく思いますのでどうぞご一報ください。)

これは人の受け売りですが、辞書や語学書といった基本工具書は、イスラーム世界のそれに限ってみた場合、ほぼ個人(しかも大学にポストを持っていない在野の個人)の努力によっていると言ってよろしいでしょう。近年、わが国では、たとえば「拠点形成」の名の下に「イスラーム地域研究」にも潤沢な資金が注入されています。しかし辞書作りとか語学といった基本的なところにはなかなか目が行かないというのが現状なのですね。一定の資金(決して高額ではありません)を投入して組織的に事を運べば、一定のレヴェルの語学教材も、辞書も、その他の工具書も、現代のいくつかの技術をもってすれば(あえて言いますが)苦もなく生産できるというのに、なかなか人はそういう風に物を考えないものなのです。実際、辞書にはみな散々世話になっているのに、辞書編纂そのものに対する評価は、辞書の有用性に比してきわめて低いと言わざるを得ません(まあ、要は私や松長さんのこの種の仕事をもっと褒めろ、ということなのですが。実際、褒めてくれる方はごくごく少数です)。

些か脱線しましたが、本書はたぶんアゼルバイジャンについてこれまで書かれたいかなる研究書や論文よりも(ここは特に強調しておきたいところです)、はるかに多くの人に恒常的に参照され、かつ彼の国について関心を抱く人々のかけがえのない呼び水となることでしょう。


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