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Bellér-Hann, COMMUNITY MATTERS IN XINJIANG 1880-1949

Bellér-Hann,Ildikó, Community Matters in Xinjiang 1880-1949: Towards a Historical Anthropology of the Uyghur. Leiden-Boston: Brill, 2008, 476p.

本書の著者「イルディ」ことイルディコ・ベラー=ハンさんと面識を得て早いものでもう10年になります。知り合った時分から歴史人類学で19-20世紀のウイグル人のことを書く、とは伺っておりましたが、今般満を持して本書が刊行されたのはまさにご同慶の至り。こんなに大部で、しかも値が張るブリルからのご出版とは恐れ入りました。

なにしろ大著作なので例によって(!)ここですべてを書きつくすことなど到底できるものではありません。だいいち日々の雑事に追われ私自身まだちゃんと読んでおりません。よって以下は(これまた例によって)ごくごく簡略なご紹介です。

私の理解としては、本書は既存の書写史料(文献、文書)を可能な限り消化した当該時期の新疆南部のウイグル人社会(ズバリ「南疆農村社会」!)の歴史に関するモノグラフとカウントして差し支えなかろうと思われます。ただ問題設定の立て方や究明が試みられる数々のトピックは、著者自身の新疆における豊富な人類学調査(フィールド・ワーク)の経験が直接反映させられており、そこが普通の歴史研究とは歴然と異なっています。つまり、あまりうまい言い方ができないのですが(ゴメンナサイ)、個別のある時代のある場所の特定個人の事情を明らかにするという、いわゆる『年代物』(このターム、分かりますか?)のためのアプローチではなくて、それこそ千年、万年という長いスパンでの人類の営みの究明、という人類学の使命?のために対象と向き合っているような印象を持つのですね。

勝手なことばかり書いていても意味がないので、以下に目次(の和訳)をあげます。

目 次

序言と謝辞
転写について
図版目録

第一章 序章
 1.1.理論的枠組み
 1.2.先行研究
 1.3.時間的枠組み
 1.4.手法
 1.5.本研究の構成
第二章 地域と人々
 2.1.地域
 2.2.歴史
 2.3.人々
 2.4.小結
第三章 社会経済の組織
 3.1.ヤークーブ・ベグから毛へ
 3.2.人口統計と集団の諸関係
 3.3.経済
 3.4.社会構造:権力へのアクセス
 3.5.税、腐敗と移民
 3.6.小結
第四章 社会的関係の規制:慣行の影響力
 4.1.紛争の処理
 4.2.家族法とジェンダー
 4.3.もてなしの法
 4.4.小結
第五章 ライフサイクル
 5.1.社会への参加
 5.2.割礼
 5.3.婚姻
 5.4.離婚
 5.5.一夫多妻、一時婚、姦通
 5.6.道徳律
 5.7.多産の称賛
 5.8.葬礼と来世
 5.9.小結
第六章 宗教、イスラームの諸制度と霊力との関係
 6.1.東トルキスタンのイスラーム
 6.2.イスラーム諸制度
 6.3.信仰の表明
 6.4.癒し
 6.5.小結
第七章 結論
図版
文献目録
グロッサリー
索引

以上、訳文はぜんぜんこなれておりませんが、これで全容はお分かりいただけるでしょう。ご関心をお持ちの方はぜひお読みください。私も曲がりなりにも同じ時代設定で社会史を書こうと目論んでいるので、本書は何が何でも消化せねばならないと思っています。本書をネタに多くの方々とあれこれ議論できれば幸いです。

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Comments

先生、こんばんは。
かなり興味がわきましたが、
今の給料では…。゜゜(´□`。)°゜。
神戸市の図書館に頼んでみます。

Posted by: kamile | 2008.11.18 at 12:43 AM

Kamileさん、コメントをどうも。
私もお金が全然ないのに泣く泣く買いました。数年前にほかならぬ著者イルディから「高い本が出たら著者にぜひ読みたいとメールを書くのもひとつの手よ」と直接指南を受けながら、当の本人にそのメールを書く勇気がありませんでした(トホホ)。かつ、9月に合衆国の学会に出た折にはブリルの書籍もディスプレイされ、この本も120ドルで割引販売されていたというのについ買いそびれてしまったのも悔やまれた点です。高い金払って買ったからには元を取るだけ(十分勉強させてもらって)使わせてもらおうと思っております。

Posted by: sugawara | 2008.11.18 at 10:10 PM

その後、ご縁があって本書の書評を書かなくてはならなくなりました。本気で読むと、畑違い(文化人類学というか歴史人類学)の本書のとくに理論的枠組の部分は、なかなか圧巻です。

Posted by: sugawara | 2009.03.23 at 03:37 PM

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