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Beisembiev, T.K., ANNOTATED INDICES TO THE KOKAND CHRONICLES

Beisembiev, Timur K., Annotated Indices to the Kokand Chronicles. Tokyo: Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies, 2008, 889p.

昨年AA研に滞在されておられたティムール・ベイセンビエフ博士の労作がついにリリースされました。

本書はコーカンド・ハーン国史に関わる年代記史料35点の統合索引で、人名、地名、用語、民族名、言語名、書名などが横断的に検索してしまえるという真に有用な文献です。試みにさっそく私は地名索引をあたってみたのですが、さすがにお隣の国の年代記だけあって、新疆の地名も少なからずエントリーされています。まあジハンギールや「七人のホージャたち」、ヤークーブ・ベグの例を挙げるまでもなく、こと19世紀にコーカンドと新疆は切っても切れぬ関係にありましたから、年代記に新疆の地名や人名が登場するのは当然でしょう。

35点の年代記の多くは私にとっては未知の史料が多く、まだまだ修行が足りないなと些かブルーにさせられました。ここのところ私の主たる関心はこの手の年代記(著作)から文書史料に移ってきてはおりますが、自分の研究は文書研究だから年代記は無用、などということはもちろんなく、こういう史料についても常に注意を払っていたく思っております(文書と年代記がそろえば鬼に金棒!だと思いたい)。

それにしても、さすがベイセンビエフさん。見出し項目の立て方が実に細かく、それが本書の有用性を際立たせているように思います。たとえば学校名とか聖者廟、はては都市の門の名前まで地名索引にはエントリーされています。新疆の事例で言えばクチャにカバーハト門(darvaza-i qabahat)なる門があったなんて知りませんでした(Tarikh-i sighari, f.30a)し、また聖者廟としてBibi Mariyam Khanim、Jalal al-Din Baghdadi, Hazrat-i Khwaja Afaq, Sultan Satuq Bughra Khan, Muhammad SharifそしてYusuf Qadir Khanなどがあげられています。これらのマザールがかつてはそれなりに有名であったことをこれは示しているといえるのでしょうか(少なくとも、軍事行動の上で重要であったことは確かなようです)。

本書はきわめて有用な書物です。今後中央アジア史研究を志す人が何人出るか分かりませんけれども、おそらく本書はその誰もが参照する基本的な工具書となることでしょう。こういう重要な書籍を、AA研イスラーム文化叢書の一書として出版してくれた著者にAA研は感謝するべきでしょう。

なお本書は残部僅少かつ非売品です。入手を希望される方はAA研編集出版担当に直接お尋ねになってください。

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