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菊地昌典・山本満『北京・新疆紀行』

菊地昌典・山本満『北京・新疆紀行-革命と民衆を訪ねて』(東京:筑摩書房、1978年)206頁。

文革終了からあまり時間のたっていない1977年7月から8月にかけての3週間の旅行記。といっても「日中友好国民協議会第五次訪中団」の一員として訪中した政治史(菊地)と国際関係論(山本)の専門家が分担執筆した「訪中体験記」と言う言い方がまあ適当かもしれません。この旅行で著者たちは10日あまりでウルムチ、トゥルファン、石河子、そしてイリをめぐり、各地での見聞を書き綴っているわけですが、時間がきわめて限られ、しかもパッケージ・ツアー以上にすっかりお膳立てがなされた形での旅行であったが故の情報の希薄さは否めません。ただ文革後に中国政府が外国人に見せようとしていたものは何だったのか、と視点を逆転させるとなかなか本書は学ぶべき点が多いようにも思われます。紀行文としてはまったく心に響くところの無い、いたって生真面目で生硬な文体の本書ではありますが、1970年代後半の時期の新疆の状況を解読する上で何らかのヒントを与えてくれるかもしれませんね(いや、そうでも考えないとせっかく買った甲斐がない!)。

なお、ちょっと時期がずれますが
クリスティナ・ドッドウェル著、堀内静子訳
『女ひとり中国辺境の旅 』(東京:早川書房[ハヤカワ文庫]、1989)278頁
はあちこちで私が絶賛している1980年代の新疆を扱った素晴らしいトラベローグ。読み物としてこちらはお勧めです。

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