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ホージャ・ムハンマド・シャリーフの奇蹟

ここ数日、プロジェクト出版物のために久しぶりに聖者伝を読んでいます。さきごろ京都のH先生がご自身の博士論文を下敷きにした浩瀚な本をお出しになられましたが、今読んでいるホージャ・ムハンマド・シャリーフの奇蹟譚はその重要な一部をなしているお話です。

このお話についてはH先生の東京でのご講義(ずいぶん昔)やご論文などで断片的には伺っておりました。またカシュミール史にも造詣が深い歴史学者のW.H.さん(現在はトルコ在住でしたっけ)との間で10年ぐらい前にボロル(Bolor)との関係でこのお話が話題になったことがあります。でも通しでこのお話を読むチャンスはなかなかなかったのでした。

この聖者ムハンマド・シャリーフのお話は、聖者の出生地であるサイラム(中央アジア、シル河右岸の町)にはじまり、サマルカンド、カシュガル、マシュハド(アトゥシュ)、[海の上]、メッカ、ダーヴァル(不詳)、カルガルクそしてヤルカンドとその舞台を転々としており、そのさまざまな舞台で聖者が顕現させる「奇蹟」が話の中心になっています。その「奇蹟」は夢での聖者の導きや、空腹に耐える奇蹟?や、夢の導きによる他人の施し、空間移動(テレポーテーション!)、驚異的な学問の成就、奇蹟による遭難からの脱出など実にさまざまです。しかし(これはH先生が特に注目されているところですが)奇蹟による聖者の墓廟発見とその整備に係る話がいくつか挿入されており、それがどうやらこの物語のもっとも重要な要素であるようなのですね。

物語の中心にあるのはアトゥシュのサトゥク・ブグラ・ハンの廟ですし、それ以外にもダーヴァル、カルガルクで聖者は死者の声を聞き、彼らの廟を造営します。果たしてこの物語に登場するダーヴァルならびにカルガルクの聖者廟が現存するものなのかどうか私は情報を持ってはいないのですが、少なくともこの物語を読んだ、あるいは聞いた人々(この物語は複数の写本が現存していますから、読書人の間で、あるいは口承の形でカシュガル~ヤルカンドあたりの一定の人々の間では知られていたでしょう)の間では「常識」の範疇に属する存在としてそれらの聖者廟があったのではないかと想像されます。これは今度、ヤルカンドなりカルガルクに行った折にでも確かめてみたいものです。

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